(後編)
19:30 開演時刻ちょうど
会場のテンションが急に上がりだす。会場に流れるBGMが一曲終わる度に「来たか!」というように会場がゆれる…
19:45
―――「The City Of Blinding Lights」!  遂に開演!
イントロが流れ出し、ボノはなんと「日の丸」を高々と掲げ
花道に登場した―――。
紅一点が激しく揺れている、あのボノの頭上で。それは紛れもなく日本の旗だった――こんな風景を、誰が予想しただろう…
敬意、啓発…いろんな見方が聞こえてくるが、私にはただただ
「8年分の思いを受け止めたぞ!」という彼らの声に聞こえてならなかった。
まさしく待ち望んだ瞬間がそこに在った
Oh !You! Look !So! Beautiful Tonight―
待ちわびたとばかりに、大合唱が轟く。

そしてツアータイトルの「Vertigo」-めまい
本当にめまい起こしそうな瞬間。
スタンド指定席も4階まで全てが一体に―――――
UK REUTERS の報道映像
    ↓
映像:U2 Rock JAPAN (Video)
そして
「I STILL HAVEN’T FOUND WHAT I’M LOOKING FOR」邦題:終わりなき旅
―それでも僕はいまだに見つけていない
 自分が捜し求めているものを
 ぼくは来世を信じている やがてすべてのの色は
 ひとつに解け合うはず
 ひとつに解け合うはず―
このときに、私の顔はどうしようもないほどぐしゃぐしゃになった
もう泣くしかなかった 泣かないでいられなかった
そして中盤に差し掛かる。
「Sunday Bloody Sunday」邦題「血まみれの日曜日」
これを聴いてその歌詞の内容が、何度心に突き刺さったことだろう。――
 There’s many lost, but tell me
who has won
The trenches dug within our hearts
And mother’s children,
brothers, sisters
Tom apart
―死者の数ばかりが増えて 一体誰が
  勝利をおさめるというのか
  人々の心の中に 塹壕が掘られ
  母親が腹を痛めた子供たち
  兄弟たちや 姉妹たちが
  散り散りばらばらに 引き裂かれてゆく―
 How long…
How long must we sing this song?
How long? How long…
  ―いつまで
   いつまで僕たちはこの歌を歌い続けなければならないのか?
   いつまで?いつまで…―
ボノに関する記述をご紹介します。 
 
『アイルランドはカトリック教徒:ナショナリストと
  プロテスタント:ユニストによる激しい対立から
  同じ国民同士の殺戮が繰り返されました。
  その対立する中、ある男女が禁断の恋に落ち、
  ひとりの男の子を儲けました。
  「ボノ」その人です。
  彼は、自分の体にはそれぞれのの血が流れているにもかかわらず
  その2つの血がお互い殺しあう中で、
  自分の存在をどう感じたのでしょうか
  人より平和を熱望するのは、そんなところから来ているのかも
  しれません。』
             ――META-⑧さんの日記より、抜粋
あまりにも素晴らしいくだりだったので、引用させていただきました。
 …彼の生い立ちに今がある事を、実感させられました。
                       Thanks,Mr.META-⑧
この曲の間、ボノはひたすら
「Coexist (共存)」
という言葉を訴え続けました。
これは、t(キリスト)、x(ユダヤ)、c(モハメッド)は全て真実
という事を意味しています。
 詳しくはこの中でボノが語っています
   ↓
 news23、ボノと筑紫哲也の対談
 (前編の最後に見ていただいたのと同じです。まだ見ていない方は是非!)
また、この日はやらなかったですが
<NEW YEAR’S DAYという曲の1節>
The Newspapers Says,Says
Say It’s True,It’sTrue…
And We Can Break Through
Though Torn In Two
We Can Be ONE
I…Will Be With You Again
新聞は(テロが起きた事を)伝える。これは事実だ。
現実に起きたコトなんだ。
僕達は必ず切り抜けられる。たとえ、今2つに引き裂かれていようとも、僕達はまたひとつになれる。 僕は再び君と一緒になるんだ。
                 
                ――META-⑧さん 同日記より抜粋
BONO
自らが身をもって体験した事を歌うその姿に、
なぜ震えずにいられるでしょうか…。
ステージに立つ彼らを見ると、背負ってきた運命と、それを力にして
世界の人種問題で起こる紛争、それに伴う問題に立ち向かおうとする気持ちがひしひしと伝わって。
そして後半の頭に差し掛かると―
「PRIDE(In The Name Of Love)」愛という名の下に
この曲は黒人の自由のために立ちあがった「キング牧師」に
捧げた曲である。
『―マーチン・ルーサー・キング(キング牧師) ―
 キング牧師は、アメリカで、人種偏見を無くす為に、
 ”非暴力抵抗運動”を 行った指導者です。 しかしながらその運動後、
 4月4日、
 ベトナム戦争反対の遊説中、白人男性により暗殺されてしまいました。
 <PRIDEという曲の一節>
 Early morning April four
 A shot rings out in the Memphis sky
 Free at last
They took your life
 They could not take your PRIDE
  
  4月4日の朝。一発の銃声がメンフィスの空に響き渡る。
  命奪われし時、自由は訪れる。だが、ヤツ等にだって、
  あなたの‘誇り’までは奪え はしない。』
                
                ―――META-⑧さん同日記より抜粋
みんな、吠え叫んでいた。
内容は、キング牧師の意思を受け継ぐかの様に訴えかけるこの曲。
(表向きに挑発的な言葉は無く、牧師の美しい正義感が際立って表されている。)
当時この内容を表に出すのはさぞかし危ない事だっただろうに
何と強い心を持っているのか!
 
そして!
「WHERE THE STREETS HAVE NO NAME」邦題:「約束の地」
イントロの荘厳なオルガンの音―
  その中に彼らはどんな風景を描いているんだろうか
―きっとそれは、彼らの故郷に違いない。
このとき私の鼓動はどれだけの速さになっていただろう
このとき一瞬、意識が遠のいていた。
そして、気がつくと私は
押し出されて最前列のフェンスにしがみついていた―
 
完全に、会場が一体になっていた。
そしてまた、思いっきりこぶしを突き上げた!

 Where the streets have no name,
We’re still building
Then burning down love
     ―どの通りにもまだ名前がついていないところ
             ぼくらは今も築き続ける
              そして愛を燃焼させる
この中に彼らは理想の地を描いたのだろうか、故郷ダブリンを描いたのだろうか
そしてまた、未開の素晴らしい地があるということ、
置き去りにされた地があるということも気付いて欲しいと
示唆しているように思えてならない。
そして、映し出された「世界人権宣言」。
世界人権宣言
先日行った筑紫哲也との対談のなかで、ふたりの敬愛するジョン・レノンの「イマジン」の話になったとき、ボノは
「手をつなぐのは大事だけど、それだけじゃだめだ。
 行動を起こさないと。
 何もしないなら、寝ているほうがマシだ。」
こんな事を話している。
これをもっと日本中に広めたいと思った。U2の音楽を通してそれが出来るのなら、もっともっとU2の日本での評価が上がるべきだ。
どのように行動したらいいのか…
なんだかんだ言っても、お金があれば沢山の子供たちを救える。
ひとりの負担は少しでいいから、出来る限りの人がすればいいのだ。
…何のためにこんなに沢山の人が存在するのだろう!
たかが募金、ではないと思う。
募金ほど多くの人が貢献に協力できるものはない。
たとえ時間がなくっても出来る唯一の方法だと思う。
どこで?どうやって?機会を与えてくれるのを待っていたらだめだ。
自ら調べて行動しなければ!そこから始まると思う。
私も心を入れ替えて行動したい。そしてみなさんも!
私は啓発をしてるわけじゃない。
人間として、当然しなければならないことだと思うから。
アンコールには遂にあの曲が。
「WITH OR WITHOUT YOU」
―私が始めて聴いたU2が、この曲だった。そして今も変わらないあの声。
初めて聴いた時の衝撃が蘇る。
後ろにsteel guitarが流れる中、それはやさしい声のささやきで始まる。
そしてじわじわと滲み出てくる感情、それは堪らないといった感じで
強くなっていく―同時に彼の繊細な儚さが憂いが、こだまとなって
長い長い叫びになってゆく。
このとき会場の一体何人が涙に濡れたことだろう。
――終わって耳鳴りも消えぬ中、トイレへ駆け込んでふと見た自分
化粧は跡形もなく、目の周りは真っ赤に腫れていた―
どれくらい泣いていたのか
それから興奮冷めやらぬ会場周辺をぼんやり眺めながらふらふらと駅へ。
いつもとかわらぬ電車を待つ。
それから、どのようにして家へ辿り着いたのか、まるで覚えていない。
次の日ふと財布を見ると、千円札が一枚減っていた。
…タクシーを使ったのか。
U2―彼らはもう、次の巡礼の地へと向かっている。
私たちも、前へ進まなくては。
そしてまたいつか会いたい。
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